今日は為替レートを動かす要素の1つ 金利について学習していくよ。
金利とはなにか?金利差によって資金がどう移動するのかを学んでね。
うーん。むずかしそうですね
そもそも金利とは?
まず、経済用語としての金利には、短期金利と長期金利の2種類があります。
短期金利について
短期金利とは、中央銀行の政策金利の影響を受けて変動する金利のことで、通常、政策金利はインフレなどによる景気の過熱を冷ます場合には金利が引き上げられ、逆にデフレなどによって景気が低迷している場合には、金利を下げることによって景気の刺激を図ります。
短期金利が上昇すると、借入金利も上昇しますので、企業であれば融資のハードルがあがり、個人であれば、住宅ローンの変動金利が上昇することになりますので、景気にブレーキがかかります。
反対に短期金利が下落すると、企業は借入がし易くなり設備投資に積極的になります。個人であれば、住宅や車などの高額商品を低金利のローンで組むことができるので、消費の促進が期待できます。
下のグラフは、2010年以降のアメリカの政策金利の推移になります。このグラフから近年のアメリカ経済には4つのフェーズがあったことがわかります。
Phase-1 景気低迷期
2010年~2015年 リーマンショックの影響による景気の低迷から経済を下支えするために、低金利政策が維持されてきました。
Phase-2 景気回復期
2016年~2019年 リーマンショック後の景気回復から急激なインフレにならないよう、段階的に金利を引き上げて景気をコントロールしています。
Phase-3 景気後退期
2019年~2021年 新型コロナウィルスの世界的な流行から経済が急激に冷え込み、不況によるデフレにならないようアメリカの中央銀行(FRB)は緊急利下げを余儀なくされました。
Phase-4 景気過熱期
2022年以降 新型コロナウィルスの流行による経済の低迷から脱却しつつあったアメリカ経済ですが、2022年に発生したロシアのウクライナ侵攻による世界的な物価上昇と相まって、急激なインフレに見舞われました。
当初は限定的なインフレと判断していたアメリカの中央銀行ですが、その予想に反し結果的に近年類を見ないほどのペースで金利を引き上げて経済の過熱に対応することになりました。
このように中央銀行は自国の経済状況に応じて政策金利を調整することで、景気をコントロールしています。
長期金利について
長期金利とは、国が発行する10年国債の利回りなどをもとに市場の影響を受けて変動する金利のことです。中央銀行のコントロールが及ばない市場で決定される金利になります。長期的な経済の見通しによる国債の売買によって利回が変動し、高い利回りの国債には資金が集まるため、通貨の需要に影響を与えています。
金利の変動による通貨への影響について
投資家にとって金利の変動は資産の運用に多大な影響を与えます。自国よりも他国の方が金利が高い場合、投資家は他国の通貨で資産を保有することでより高い利回りを得ようとします。その結果、他国の通貨の需要が高まります。
例として、アメリカと日本の金利差による通貨への影響を確認してみましょう。
上のグラフは、日本とアメリカの国債利回りの差がそのまま為替レートに比例していることを表したグラフになります。金利差が広がるほどに円安に向かっていることがわかると思います。これは日本の投資家が円を売って米ドルで資産を保有していることを意味しています。
金利差があれば、資金は高金利の国の方に移動するのが一般的ですが、一部トルコなどの経済情勢が不安定な国はインフレに弱く、政策金利が50%近くまで上昇するなど、高金利だから必ず資金が集まるという訳ではありません。
今日は金利と金利差による通貨への影響について学習したけど、どうだった?
ちょっと難しかったですけど、円安になっている理由が少しわかった気がします。
それは良かった。他にもいろんなテーマを学習して知識を獲得していきましょう。
金利についてのまとめ
- 短期金利→中央銀行の政策金利によって変動する
- 長期金利→10年債利回りなどの市場の影響によって変動する
- 低金利の国から高金利の国に資産が移動する