それでは、前回に引き続き日銀会合の重要性とトレーダーが取るべき行動について学習していきましょう。
よろしくお願いします。
トレーダーにとっての重要性
前述の通り政策の内容次第では、短期・中期的に日本円の需要に大きな影響を与えることになりますので、トレーダーとして何を判断すべきなのかを確認しておきましょう。
日銀会合の注目ポイント
- 政策金利の変更
- 量的緩和の拡大・縮小
- 声明文や記者会見の内容
- 市場の期待とのギャップ
それぞれについて簡単に説明していきます。
1.政策金利の変更
現在の日本経済の状態を鑑みるに、日銀が政策金利を変更する可能性は低いと予想されていますが、もし利上げや利下げの方向が示される場合、円相場に強い影響を与えることになります。
特に他国と比較した金利差が円の強弱を決定する1つの要因となるため、米国や欧州など他国の中央銀行の政策と比較して日銀の決定を読むことが重要です。
例えば、2022年~2024年前半までは、日本と世界各国の金利差は大きく開いていましたので、継続的な円安相場が続いていましたが、2024年後半より日銀の利上げと各国の利下げが始まったことから次第に円高方向に為替レートが進みつつあります。
2.量的緩和の拡大・縮小
近年の日銀は、政治によるアベノミクス提唱によって国債やETFの購入を続けて量的緩和策をとってきました。
しかしながらいつまでも緩和し続けることは経済的に健全でなく、いつかは量的緩和の終了から量的引締めに移行するタイミングが日本にもやってくるかもしれません。
為替市場に与える影響としては、金融緩和策を強化または継続する場合、市場に資金が大量に流入するため、通貨の価値が下がり、円安の材料となります。
反対に、金融緩和策の縮小や金融引締めへの転換が示唆されれば、市場から資金が引き揚げられることになりますので、通貨の価値が上がり、円高の材料と判断されます。
3.声明文や記者会見の内容
会合後に発表される声明文や、日銀総裁(現在は植田和男氏)の記者会見(午後3時30分)が特に重要になります。
ここでは、今後の政策の方向性や日銀の見解が明らかにされますが、総裁の発言内容次第では、相場の流れが一変する場合もありますので、注意が必要です。
これらの金融政策の姿勢は、声明文や記者会見の総括としてタカ派・ハト派という言葉で表現されることになります。
タカ?ハト?
タカ派・ハト派というのは、金融政策におけるスタンスを指す言葉で、次のことを表現しているよ。
タカ派 | 金融引締め | 通貨の上昇要因 |
ハト派 | 金融緩和 | 通貨の下落要因 |
4.市場の期待とのギャップ
ヘッジファンドなどの海外の投資家は、日銀金融政策決定会合に対し、次のような評価をしています。
日銀会合の評価
- 他国より相場とのコミュニケーションが下手である
- 他国より政治の圧力に弱く、政策運営に不透明感がある
- 事前予想が難しい
- ボラティリティが大きく利益を得るチャンス
それによって、過度な期待を相場に織り込むことがあります。
ヘッジファンドなどの海外の投資家は、おおよそ1週間ほど前から日銀会合を意識し始め、それまでのトレンドを形成していた経済指標や他国の要人発言などの材料が賞味期限をむかえ、日本の金融政策の方向性に合わせたトレンドに戦略をシフトしてきます。
政策発表の内容が彼らの予想通りであれば、既に相場に織り込んでいるので、大した値動きにはなりませんが、万が一予想に反した内容となった場合には、急激に織り込みの巻き戻しが生じることになります。
私たち個人のトレーダーとしては、事前に市場が『どのような政策を期待しているか』・『どのくらい相場に織り込まれているのか』を会合までの値動きから判断し、当日の政策発表の内容と違いがあれば、どのように相場が反応するか?をあらかじめ様々なパターンで想定しておくシミュレーション力が必要となります。
そうすることで、慌てずに収益のチャンスを掴むことができます。
トレーダーが取るべき行動
前述の内容から日銀金融政策決定会合は、他国の中央銀行政策発表よりも予想が難しく、ヘッジファンドも大きなボラティリティを見込んでいます。そのため大きな収益を得る可能性がある一方、何の準備もシミュレーションも想定していない中で取引を行うと手痛い損失を被る可能性もあります。
そこで、私たち個人トレーダーは日銀会合前後にどうするべきか?についてまとめました。
日銀会合前にすること
- 事前準備
- 発表前のポジション調整
事前準備
市場がどのような政策変更を期待しているのかを調べ、事前にトレードシナリオを立てることが重要です。
市場が特定の方向に動くことを予測している場合、そのシナリオが外れたときのリスクも考慮しなければなりません。
発表前のポジション調整
ボラティリティが上がる可能性が高いため、事前にポジションを見直し、リスク管理を徹底します。
特に損切りや利確幅の設定は重要になります。
日銀会合後にすること
- 発表後のトレード戦略
- 長期的な視点
発表後のトレード戦略
政策内容の発表直後は相場が急変動する可能性が高いため、相場変動の初動を利用した短期的なトレードをする。
声明文や記者会見を分析して中長期的なトレードのポジションを取る。
などの自分の得意な戦略に合うトレードのタイミングを計ることが重要になります。
長期的な視点
金融政策決定会合は日本経済全体の方向性を示す重要な指標になります。
そのため中長期的な視点で、円のトレンドを見極め、適切なポジションを取ることが求められます。
前後編2回に渡って日銀会合について学んできたけど、どうだった?
自分の事前準備次第でチャンスにもピンチにもなりそうです。
トレーダー目線の日銀会合まとめ
- 市場はどのように織り込んでいるか?
- 記者会見の内容はタカ派?ハト派?
- 自分の戦略に合う時間軸でトレードしよう
後半からたどり着いた人は前半も読んでみてね。